Excel土木講座 エクセル水理学入門

はじめに より抜粋

環境問題が注目されるようになって久しいが、その基本的な学門として水理学の重要性が増している。ところが、土木工学の基礎的な学門として以前より極めて重要な分野にもかかわらず、水理学は難解な科目として敬遠される傾向がある。そこで、より手軽に水理学の例題を試せるように、エクセルのプログラムを作成した。言うまでもなく、エクセルは水理計算にとって非常に有効なツールであるが、これにより例題などを手軽にトライできるものとなり、よりやさしい水理学の入門書を実現することができた。

技術者にとって、必須のツールであるエクセルの理解を考えて、電卓で十分であると思われる計算に対しても、あえてエクセルで計算をしている。

もちろん、エクセルのVBAを使い、かなり高度で実用的なな計算も扱っている。

これまで難しいとされていたことも、パソコンを活用すれば、その敷居をかなり下げることができる。本書が学生たちに敬遠されてきた水理学の入門の敷居を下げることを期待して本書を作成した。

本書は水理学の名著として名高い標準水理学（本間　仁著）をベースとしている。同書は、水理学を学ぶ者にとってバイブルでもあり、多くの水理学の入門書のベースとなっている書でもある。同書の出版にあったては、若き学究の徒であった荻原先生も参加したという。

今回、次の世代へ、本著を伝えることが出来て不祥の弟子としてほんの少しのご恩返しとなった。本書の出版にあたって、本間先生に喜んでいただけたことが、なによりもうれしい。

目次

1. 水の物理的性質
   1. 水の密度（density）と単位重量（unit weight）
   2. 水の圧縮性と体積弾性係数
   3. 表面張力(surface tension)
   4. 粘性(viscosity)
   5. 水頭とエネルギの伝達
2. 静水の力学
   1. 静水圧(hydrostatic pressure)
   2. 圧力の伝達
   3. 水圧の測定
   4. 鉛直の平面に働く静水圧
   5. 傾いた平面に働く静水圧
   6. 曲面に働く静水圧
   7. 浮力(buoyancy)
   8. 浮体の安定(stability of floating body)
   9. 相対的静止の問題
3. 水流とその測定
   1. 完全流体
   2. 流線
   3. ベルヌーイの定理(Bernoulli)
   4. ベルヌーイの定理の応用
   5. 圧力水頭の測定
   6. 流れの速度の測定
   7. 管内の流量測定
   8. オリフィス(orifice)よる流量測定
   9. せき(weir)　よる流量測定
4. 管の中の流れ
   1. 平均流遠を用いた基本方程式
   2. 摩擦低抗に関する実用的な公式
   3. 管内の摩擦以外の水頭損失
   4. サイフォン(syphon)
   5. 分岐管(branchd pipelines)
   6. 管内の流水による仕事量
5. 開水路の流れ
   1. 比エネルギー(specific energy)
   2. いろいろな断面に対する限界水深
   3. 跳水現象
   4. 開水路の流れ(open channel flow)の基本式
   5. 流れの中での水頭損失
   6. 水理特性曲線
   7. 限界勾配
   8. 一様水路の不等流
   9. 勾配の変わる流れ
   10. 河川水位及び流量の計算