失敗しない社会調査法のすべて
はじめにより
社会調査は多くの人が知る身近なものでありながら、正しい社会調査の方法を知っている人は決して多くはない。数多くのデータを集めたから信頼できる調査結果になるとは限らないのだが、社会調査の行う側もそれを読む側も、数の多いデータほど信頼できると勘違いしている人が多い。近年、社会調査は頻繁に行われているが、せっかく大量調査をしていながら調査データが正しく分析されていないものや結果の解釈が間違っているものが散見される。間違った分析や解釈は読む側に誤解を与える危険すらある。
そこで本書では、どのような標本を抽出し、どのような手法を用いて調査を実施し、どのような統計処理を用いれば正しい結果を社会に送り出すことができるのかを解説した。誤った社会調査から得られた誤った情報により人々を翻弄してはならない。正しい社会調査法に基づいた結果・情報を発信すれば、人々にその情報を納得してもらえるだけでなく、問題点の改善を図るベースにもなり社会に貢献できる。
本書は社会調査をはじめて行う人にもすぐに間違えず調査が実施できるように社会調査に必要な内容を網羅している。また、社会調査の経験豊富な人にも役立つように、理論のみならず、実際の例をなるべく多く掲載した。さらに、量的調査のみならず質的調査、マーケティングなど、学生や研究者だけではなく、実務に活かしてもらうことができるようにしている。
目次
- 社会調査とは
- 社会調査の目的
- 社会調査の三段階
- 事象を数量化する
- 数量を正しく解析する
- 解析結果を社会に役立てる
- 社会調査における倫理問題
- 倫理問題
- さまざまな倫理問題
- 社会調査の歴史と発展
- 国政に必要な社会調査
- 社会調査の主たる歴史
- 統計的社会調査
- 調査による発見と真偽を知る重要性
- 記述統計学と推測統計学
- 統計学が示すもの
- 社会調査にかかわる統計学の発見
- インターネット調査
- 調査の種類
- 量的調査と質的調査
- 量的調査
- 質的調査
- 質問紙調査法、インタビュー法、観察法
- 質問紙調査法
- インタビュー法(自由面接法
- 観察法
- 横断的(クロス・セクショナル)調査と縦断(時系列)的調査
- 横断的(クロス・セクショナル)調査
- 縦断(時系列)的調査
- 資料探索法
- 量的調査と質的調査
- 調査の企画
- テーマ・課題の設定
- さまざまなテーマ・課題の選定
- テーマ・課題の設定にあたっての注意
- 既存資料・先行研究の調査
- 仮説の設定
- 調査対象者・調査方法の決定
- 調査票の作成
- データの処理
- 調査結果の整理
- データのコーディングとデータの入力
- データのクリーニング
- データの集計
- データの分析
- 結 果
- 考 察
- 結論、まとめ、おわりに、結び
- 報告書・論文の作成・プレゼンテーション
- 個人情報の取り扱いについて
- テーマ・課題の設定
- 調査票の設計
- 調査票作成にあたって
- 調査票作成の手順
- 表紙
- 調査項目
- データの性質とサンプリング
- データの性質
- 質的データと量的データ
- 連続データと離散データ
- データの尺度水準
- サンプリングの手法
- 標本誤差と非標本誤差
- 標本誤差
- 非標本誤差
- 無作為抽出を基本としたサンプリン
- 単純無作為サンプリング
- 系統サンプリング(等間隔サンプリング)
- 2 段サンプリング
- 層化サンプリング
- 無作為抽出を基本としないサンプリング
- 偶然サンプリング(行き当たりばったりサンプリング)
- 集落サンプリング
- 割り当てサンプリング
- スノーボールサンプリング
- サンプルサイズ
- 乱数の発生法
- データの性質
- 統計的手法
- 独立変数と従属変数
- 代 表 値
- 平均値
- 中央値・メディアン
- モード・最頻値
- 散 布 度
- 分散
- 標準偏差
- レンジ
- 四分位偏差
- 変動係数
- グ ラ フ
- 棒グラフとヒストグラム
- 折れ線グラフ
- 散布図
- 箱ひげ図
- 歪度と尖度
- 歪度
- 尖度
- 分 布
- 推定と検定
- 推定
- 検定
- さまざまな検定
- 2 つの変数の関連
- 2 群の母平均の差の検定
- 分散分析
- 重回帰分析
- 官庁統計(公的統計)・国勢調査・世論調査
- 官庁統計・国勢調査・世論調査活用のすすめ
- 官庁統計(公的統計)とは
- 法律上の分類
- 作成方法による分類
- 国勢調査とは
- 世論調査とは
- 社会の情報基盤としての統計
- 量的調査の理論と実際
- 量的調査と質的調査
- 量的調査の種類
- 学術調査
- テーマ・課題の設定 1(研究目的の明確化
- テーマ・課題の設定 2(研究計画
- 調査の設計
- 調査票の作成 1(項目作成、形式決定、ワーディング)
- 調査票の作成 2(予備調査と調査票の修正
- 調査の実施
- データの集計
- データの解析
- 結果と考察(仮説の検証・モデルの設計)
- 報告書の作成
- 調査の倫理と限界
- 調査の倫理
- 調査の限界
- 量的調査の実際
- 調査を行う前に
- 調査の構図
- 量的調査の例
- アンケート調査の例
- 二次分析の例
- 第質的調査の理論と実践
- 質的調査の理解のために
- 研究の流れと質的調査という方法論
- 質的調査で用いられる研究方法-データ収集技術-
- インタビュー法
- 観察法
- 質的調査の分析と課題
- ケーススタディ
- グラウンデッド・セオリー
- マッピングとカテゴリー化作業
- データの信頼性と妥当性を高めるために
- 質的調査のアプローチ実践
- 紹介する実践の調査・分析方法
- コンピュータを用いたテキスト(文章)の分析
- 自由インタビュー調査からの解析-大学中退研究から-
- 質的調査と量的調査の融合
- 質的調査のコード化-グランデッド・セオリー-
- 電子メディアと情報処理能力の発達
- マーケティング・リサーチの理論
- 製品開発のためのマーケティング・リサーチ
- 市場調査とアイディアの創出
- 製品テストとテスト・マーケティング
- ブランド構築のためのマーケティング・リサーチ
- ブランド知識
- ブランド構築
- 価格設定のためのマーケティング・リサーチ
- プロモーションのためのマーケティング・リサーチ
- 流通のためのマーケティング・リサーチ
- 効果的なマーケティング・リサーチ設計のために
- 製品開発のためのマーケティング・リサーチ
- マーケティング・リサーチの実際
- 事前準備
- 那覇都心部の概要把握
- 調査内容の設定
- 調査地点の設定
- 調査結果
- 回遊行動
- 国際通りと新都心の競合
- ゆいレールの浸透
- 商業施設の使い分け
- 調査結果をもとにした提言
- 事前準備