環境社会学の視点と論点
定価 | ¥3,740(税込) |
ページ数 | 192 |
サイズ | A5 |
著者 | 久郷 明秀 |
発売 | 山海堂 |
ISBN | 4-381-01689-0 |
ISBN (電子書籍) | 978-4-910058-61-0 |
(電子書籍)
前書きより
社会と環境の相互関連を研究し、人々の行動を類型化することで、その中に潜む思想を分析考察することは社会学の方法論の一つである。
しかしながら、環境の概念は数多く、気象や動植物などの自然環境から都市空間の景観や騒音などの人工的環境まで多岐の概念を有し、また家庭環境、職場環境といった個人の空間から気候変動などの地球的規模の空間まで広範囲にわたっている。このため環境問題と社会の関わりをあらゆる側面から包括的に論じることは容易ではない。
地球温暖化などの環境に関する科学的追求や、政策に関する論評など巷では多数の書籍が出版されている。本書ではアプローチの焦点をエネルギーと環境に関する社会事象に絞り、第1章で工業文明から新たな価値文明の分岐点に到達した社会背景を概観し、第2章で徹底した自由を追求するリバタリアニズムと一定の社会的権利拘束の上に自由を求めるリベラリズムの二つの社会思想を社会契約論と環境倫理の視点で整理した。また第3章では、エネルギー問題と環境問題に関わる社会のトピックスを前章で整理した社会理論を当てはめて解釈を試み、最終章は結語として本書のまとめを記載している。
目次
- 環境とエネルギーの社会的背景
- 地球温暖化とエネルギーの関係
- 世界人口
- GDPと二酸化炭素やその他の廃棄物
- 地球温暖化の弊害
- 身近なグローバリゼーション
- グローバル化の視点
- 時間と距離の感覚的圧縮
- 社会的格差の拡大
- 経済に及ぼす歴史的変化
- グローバル化の課題
- 資本主義社会の課題
- 資本主義の特徴
- 米国と欧州の違い
- メディアの力と公共施設建設の補償
- 生産から遊離する社会
- 成長の限界
- 価値転換の必要性
- 新たな資本主義社会
- 地球温暖化とエネルギーの関係
- 環境と正義に関わる社会理論
- 社会理論と環境問題
- 自由と権利の座標軸の拡大
- 現代社会の矛盾
- 交換的正義の起源
- 配分的正義の発生
- ロールズの正義論(リベラリズム)
- ノージックの自由至上主義(リバタリアニズム)
- 国家論と自由論/正義論
- 環境倫理
- 環境倫理からのアプローチ
- 環境論的正義
- 世代間倫理
- 地球温暖化と国際関係
- 地球温暖化防止条約
- 米国の京都議定書離脱
- 地球温暖化防止条約の交換的正義と配分的正義
- 市場原理の導入
- 環境正義論の展望
- 社会理論と環境問題
- 社会事象考察
- 社会理論
- リバタリアンの思考
- リベラリストの思考
- 天然資源の保全は誰が責任を持つのか?
- 資源を巡るリベラリズムとリバタリアニズムの視点
- ハバートの生産周期モデル
- リバタリアンの資源論
- リベラリストの資源論
- 原子力は環境を救うのか?
- エネルギー効率
- 炭酸ガス排出量
- 国際動向
- 廃棄物問題
- リベラリズムとリバタリアニズムの視点
- ウラン燃料加工工場の臨界事故はなぜ起きたのか?
- 事故の背景
- 事故原因の考察
- リベラリズムとリバタリアニズムからの視点
- 安全文化
- 住民投票は民主的意思決定方法か?
- 住民投票の位置づけ
- 原子力発電所建設計画の事例
- プルサーマル計画を巡る事例
- スイスとスウェーデンの国民投票
- リベラリズムとリバタリアニズムの視点
- 社会理論
- 社会理論の現実と課題