コンパクトシリーズ数学 数値計算
まえがき より
大学で理工系を選ぶみなさんは、おそらく高校の時は数学が得意だったのではないでしょうか。本シリーズは高校の時には数学が得意だったけれども大学で不得意になってしまった方々を主な読者と想定し、数学を再度得意になっていただくことを意図しています。それとともに、大学に入って分厚い教科書が並んでいるのを見て尻込みしてしまった方を対象に、今後道に迷わないように早い段階で道案内をしておきたいという意図もあります。
数学は積み重ねの学問ですので、ある部分でつまずいてしまうと先に進めなくなるという性格をもっています。そのため分厚い本を読んでいて、枝葉末節にこだわると読み終えないうちに嫌になるということが多々あります。このような時には思い切って先に進めばよいのですが、分厚い本だとまた引っかかる部分が出てきて、自分は数学に向かないとあきらめてしまうことになりかねません。
このようなことを避けるためには、第一段階の本、あるいは読み返す本は「できるだけ薄い」のがよいと著者は考えています。そこで本シリーズは大学の2~3年次までに学ぶ数学のテーマを扱いながらも重要な部分を抜き出し、一冊については本文は70~90ページ程度(Appendix や問題解答を含めてもせいぜい100~120ページ程度)になるように配慮しています。ふつうの教科書や参考書ではそれぞれ200~300ページになる内容のものですが、それをわかりやすさを保ちながら凝縮しています。
なお、本シリーズは性格上、あくまで導入を目的としたものであるため、今後、数学を道具として使う可能性がある場合には、本書を読まれたあともう一度、きちんと書かれた数学書を読んでいただきたいと思います。
目次
Chapter 1 数値計算の基礎
- アルゴリズム
- 漸化式と反復法
- 誤差
Chapter 2 単一方程式の根
- ニュートン法
- 2分法
Chapter 3 連立1次方程式の解法
- ガウスの消去法
- 反復法
Chapter 4 関数の近似
- 多項式補間
- 最小2乗法
Chapter 5 数値微分と数値積分
- 数値微分 ― その1
- 数値微分 ― その2
- 区分求積法と台形公式
- シンプソンの公式
Chapter 6 微分方程式
- 初期値問題 ― 1
- 連立・高階微分方程式
- 初期値問題 ― 2
- 境界値問題
Chapter 7 偏微分方程式
- ラプラス方程式の解法
- 拡散方程式の解法
Appendix A
- テイラー展開とニュートン法
- トーマス法
- 最大固有値
- スプライン補間法
Appendix B
- 問題略解