我が子の自殺のサインを読み取る
定価 | ¥2,420(税込) |
ページ数 | 232 |
サイズ | B6 |
著者 | ヘルガ・ケスラー・ハイデ【著】 高橋 祥友【監修】 加納 教孝【訳】 |
発売 | インデックス出版 |
ISBN | 4-901092-42-1 |
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はじめにより
《なぜ?》
子どもや青少年がみずからの命を絶つ、最初に私たちの心に浮かぶのはこの「なぜ?」という疑問だと思います。そして自殺を止められなかった自分を責める気持ち、不安、恐怖とともに、
私がこの本をもって向き合いたいと考えているのは、子どもを持つ親御さんたちをはじめとして幼稚園や学校の先生がた、社会教育にかかわっている方々、すなわち日常の生活や仕事の中で子どもや若者と接している方々です。
自殺行動というのは、けっしてただひとつの原因によってのみ引き起こされるものではありません。本書では、そういう自殺行動の背景が持つ複雑さというものに光をあて、自殺を予防する上での様々な可能性を示そうと思います。
自殺を防止する最善の方法は、早い時期に「警戒兆候(サイン)」に気づいてあげることです。様々な具体例をもとにそれについて詳細に述べたいと思います。
最初のサインから実際の行動までの移行段階を、専門的な言葉で「自殺前症候群(prasuizidale Syndrom)」と呼びます。この用語を初めて用いたのは、ウィーンの精神科医であり精神療法家でもあったエルヴィン・リンゲル(Erwin Ringel)でした。
サインを発してから自殺行動までは非常に短いことがしばしばです。両者の間にあるさまざまな違いについて示したいと思います。その際には、子どもの自殺行動と青少年のそれとを区別しなければなりません。なぜならば、自殺未遂があれば、そこにはかならず対人関係障害(人間関係のトラブル)があります。子どもの場合、それに該当するのはまず家族ですが、青少年の場合には、本人にもっとも近しい友人関係も一緒に考慮の対象に入れなければならないからです。
目次
自殺行動についてのさまざまな視点と背景
- はじめに危機ありき
- 自殺前症候群とは
- さまざまな閉塞感
- 攻撃性の逆転
- 自殺幻想
- 自殺についての理論
- 社会学的アプローチ
- ナルシシズム(自己愛)
- 学習理論的・社会心理学的アプローチ
- 警戒兆候(サイン)について
- 目立つ挙動
- 話し方と外見
- 心理面での変化
- 身体的愁訴
- 喪失体験
- 実質的行動の段階
- 自殺行動について
- 子どもの場合
- 青少年の場合
- 家庭という名の組織
- 暴力に支配された家庭
- 片親(あるいは両親)がいない家庭
- 「私たちには何も問題はありません」という家庭
- 共依存的家庭
予防と援助
- 予防
- 親という名の職業
- 学校での自殺予防
- 危機介入
- 危機への対応
- 警戒兆候(サイン)への対応
- 自殺行動への対処
- 再発予防(アフターケア)
- 入院治療
- 繰り返しの危険性
- さまざまな援助団体
- さまざまなセラピー
- 【解説】孤独な魂の叫びを受けとめるために 高橋祥友
- いじめは自殺のすべての原因なのだろうか
- 自殺に関する家族理論
- 「取替えのきく子ども」論(サバース)
- 「スケープゴート」論(リッチマン)
- 「多世代間の家族の病理」論(フェファー)
- 群発自殺
- 自殺予防教育(カリフォルニア州の例)
- 生徒を直接対象とした教育
- 教師を対象とした教育
- 親を対象とした教育
【訳者あとがき】 加納教孝