Excel土木講座 エクセル土質試験入門
定価 | ¥3,960(税込) |
ページ数 | 220 |
サイズ | B5 |
著者 | 石田 哲朗 【編著】 辰井 俊美 中川 幸洋 谷中 仁志 肥田野 正秀 |
発売 | 山海堂 |
ISBN | 978-4-381-02217-2 |
ISBN (電子書籍) | 978-4-910058-53-5 |
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エクセルナビシリーズ 地盤材料の試験・調査入門序 より抜粋
建設分野で土を工学的に取り扱う専門書には,土質力学,土質工学,地盤工学,土の力学,そして地盤環境工学などと題した多くの出版物がある.英語では,soil mechanics,soil engineering,geotechnical engineering,subsurface engineering,geoenvironmental engineering,environmental geotechnicsなどの表現がこれらに当たるのであろうか.では,土質試験はと調べてみると,soil testing,experiments on soilくらいしか見当たらなかった.工学的に取り扱う専門書と,その内容の実験,試験を取り扱う書は一対のものかと考えていたが,実験系の名称には幅や変化はないように思える.
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ところで,最近テレビで,各大学が生き残りをかけて,学生に注目されるような学部,学科名称へ変更している事について強烈に批判しているのを見聞きした.大学のあり方や考え方を批判するもので,本質である学舎から離れて,人集めだけを目的とした商業主義に偏り過ぎているという意見であった.上辺だけで誤魔化そうとする姿勢や研究費の獲得方法やその使い方までに及び,大学に勤めている者には耳の痛い話であったり,一視聴者とすればもっともな意見であったりもした.
専門書の名称もこの手の類かと考えてみたが,そうでもないだろうという個人的な結論に至った.世の中の移り変わりや言葉も生き物と思えば,少しでも内容をよりよく言い表したものに変えたいと思うのは心情である.勿論,こんな名称の方が購買意欲をかき立てるのではと,副題を付け加えたりはすると思うが,前述した名称は主題で,その意味では健全なものであると思われる.
大学や専門学校では,講義科目とか座学の教科と称する科目より,実験や演習科目の方がランクを下にみる傾向がある.単位数も,開講時間で判断すれば半分しか認められていない.しかしながら,実験や演習科目は知識も学ぶが,自ら研鑽を積むのに適する題材が数多く含まれている.
そのためか,土質実験で実際に土の挙動を目で,手で体験すると,講義で学んだ(聞いた)ことがやっと理解できたという学生の言葉をしばしば耳にする.講義を担当する教員にとっては喜んでいいのか,複雑な気持ちであるが,砂場で知らず知らずに水分を適度に含んだ砂を盛り上げながら,叩けば固くなり,丁寧に扱うとトンネルまで作れることを自然と知った幼年期の体験と同様に,“土”は体で学ばなければ駄目なのかと力不足を痛感しながらも,その必要性を強調したい.なぜなら,最近では,一日中コンピュータの前に座っていると勉強した,研究していると勘違いしている学生が多いのである.これだけコンピュータが安価で手に入り,インターネットを通じて容易に情報を入手できる時代になれば,勘違いするのも当然かもしれないが,そういう学生らを少しでも実験室へ足を運ばせたくなるのである.コンピュータの前には家でも座れる.せっかく学校へ足を運んだのだから,そこでしか体験できないものも得てほしいと思うのである.
それならそれで,教育する側もそれなりに変化を持たせて,毛色の違う冊子をつくる努力をしなくてはならない.そんな考えに基づいて構成したのが本書『エクセル土質試験入門』である.地盤工学や土質力学の専門書の内容に関連する土質試験を,その試験内容から計算式一つ一つの意味することまでを詳しく説明してある.そして,計測データはエクセルで構築されたファイルを通じて,規準化されたものと同じ書式のデータシートに即座に結果が整理される.土質試験を重ねてもデータ整理に費やす時間が短縮できるだけでなく,コンピュータ上で楽しみながら経験を蓄積できる.自然と実験室へも足繁く通うことにはならないだろうか.本書に接してそうなることを心から祈念している.
本書は大学・高等専門学校・短期大学・専門学校の土質実験の授業に限らず,社会人となった方々が,最初から学ぼうとした場合にも対応できるように心がけたつもりである.至らぬ点はご批判を頂ければ機会を見て訂正して行きたいと考えている.
目次
序
- 土粒子の密度試験
- はじめに
- 固体部分の求め方
- 試験に用いる試料の準備
- 試験方法
- 結果の整理と解釈
- データシートの記入例
- 土の含水比試験
- はじめに
- 土の状態を表わす諸量の関係式
- 試料の準備
- 試験器具
- 試験方法
- 結果の整理
- 関連知識
- デシケータ
- 電子レンジ法
- データシートの記入例
- 土の粒度試験
- はじめに
- 粒度分布の求め方
- 沈降分析とは
- 計測手法に対する補正
- 浮ひょうの有効深さ
- メニスカス補正値
- 浮ひょう球部の温度による体積変化
- 試験手順
- 均等係数・曲率係数の求め方
- データシートの記入例
- 土の液性限界・塑性限界試験
- はじめに
- コンシステンシー限界と塑性指数
- 試験に用いる試料の準備
- 試験方法
- 液性限界試験
- 塑性限界試験
- コンシステンシー特性の求め方
- コンシステンシー限界
- 他のコンシステンシー特性値及び土質区分
- 圧密特性値の推定方法
- その他の液性限界試験方法
- 一点法による液性限界の決定方法
- フォールコーンを用いた液性限界試験
- データシートの記入例
- 突固めによる土の締固め試験
- はじめに
- プロクターの締固めの考え方
- 試験方法の種類
- 試料の準備方法と使用方法
- 試験器具
- 試験方法
- 結果の整理
- 関連知識と注意事項
- データシートの記入例
- CBR試験
- はじめに
- 舗装の構造
- CBR試験の目的と種類
- 試験方法
- 結果の整理
- 規格・規準以外の室内CBR試験
- 設計CBR試験
- 修正CBR試験
- データシートの記入例
- 透水試験
- はじめに
- 土中水の分類
- ダルシーの法則
- 透水係数の求め方
- 試験装置と試験器具
- 100%の飽和度の確保と動水勾配
- 透水試験の実施
- 定水位透水試験
- 変水位透水試験
- 透水係数の概略値
- データシートの記入例
- 土の圧密試験
- はじめに
- 圧密試験方法と名称の変遷
- 土の段階的載荷による圧密試験方法
- テルツァーギの一次元圧密理論
- 圧密定数の求め方
- 圧密係数 Cv
- 体積圧縮係数 mv
- 圧縮指数 Cc
- 先行圧密圧力 pc
- 沈下量の求め方
- 沈下~時間の関係
- 結果の整理
- データシートの記入例
- 土の一面せん断試験
- はじめに
- 一面せん断試験とは
- 試験条件と結果の解釈
- 試験方法
- 供試体の準備
- 一面せん断試験機
- 試験の手順
- 結果の整理と解釈
- 試験結果の整理
- 強度定数
- その他の一面せん断試験方法
- 簡易定圧試験
- 在来型試験機を用いた一面せん断試験
- データシートの記入例
- 土の一軸圧縮試験
- はじめに
- 一軸圧縮試験におけるモールの応力円
- 一軸圧縮試験の適用条件
- 試験方法
- 供試体の準備
- 試験の手順
- 結果の整理と解釈
- データシートの記入例
- 土の三軸圧縮試験
- はじめに
- せん断強さの求め方
- せん断強さを求めるための三軸試験の種類
- せん断強度定数を求めるための三軸圧縮試験
- 動的せん断強さを求めるための三軸試験
- せん断強度定数を求めるための三軸圧縮試験方法
- 三軸圧縮試験手順
- 三軸圧縮試験結果の整理
- 土の液状化強度特性を求めるための繰返し非排水三軸試験方法
- 繰返し非排水三軸試験の手順
- 繰返し非排水三軸試験結果の整理
- 変形特性を求めるための繰返し三軸試験
- 変形特性を求めるための繰返し三軸試験の手順
- 変形特性を求めるための繰返し三軸試験結果の整理
- データシートの記入例
- 地盤調査
- はじめに
- ボーリング調査
- サウンディング
- スウェーデン式サウンディング
- 標準貫入試験
- サンプリング
- その他の原位置試験
- 現場透水試験
- 孔内水平載荷試験
参考文献
索引