Excel土木講座 エクセル土木基礎数学

はじめに より抜粋

数学は土木工学のみならずすべての理工学の基礎になっている．それは，数学が理工学を記述する上でもっとも便利な道具であり，厳密にことがらを議論し，定量的な結果を出すためには必要不可欠であるからである．したがって，数学は大学の理工系の各学科では必修科目になっている．もちろん，幅広い数学の中でどのような内容に重点を置くかは専門分野によって異なるが，線形代数と微積分学は分野によらず初年級で最低限習得すべき科目になっている．このような事情からすでに膨大な数の線形代数や微積分学の教科書，参考書が出版されており，定評のある本も少なくない．それでもあえて本書を，線形代数および微積分学の入門書という位置づけで，エクセルシリーズの1冊として執筆したのは以下の理由からである．

ひとつは，こういった線形代数や微積分の多くの本が結構分厚くて分量があり，最初に読むにはしばしば敷居が高いと感じられるからである．その意味で，高校の数学を学んだあとで線形代数と微積分学の基礎を手軽に読めて理解できる入門書があってもよいと考えた．そのため，題材を思い切って取捨選択し，高校の数学との連続性がよいものに話を限った．いいかえれば，抽象的な内容の題材は割愛したが，本書の内容だけでも専門科目を学んで行く上でかなりの役に立つものと思われる．もうひとつの理由として，エクセルにはいくつかの初等関数が組み込まれているが，それを使いこなすための手引書の役割を本書によって果たしたかったことがあげられる．

目次

1. ベクトルの代数
   1. スカラーとベクトル
   2. ベクトルの和と差とスカラー倍
   3. 幾何学への応用
   4. スカラー積とベクトル積
   5. ベクトルの成分表示
   6. スカラー積とベクトル積の成分表示
2. 行列
   1. 掃き出し法
   2. 行列と基本変形
   3. 行列の演算
   4. 行列の階数と連立1次方程式の解法
   5. 正方行列と逆行列
3. 行列式
   1. 行列式の定義
   2. 行列式の性質
   3. 余因子
   4. クラーメルの公式
4. 有値と固有ベクトル
   1. 固有値と固有ベクトル
   2. 固有値と固有ベクトルの求め方
   3. 行列の対角化
   4. 対称行列と2次形式
5. 関数と極限
   1. 関数
   2. 極限
   3. 関数の連続
6. 微分法の基礎
   1. 微分係数と導関数
   2. 微分の公式
   3. 平均値の定理
   4. 微分法の応用
7. 積分法の基礎
   1. 不定積分
   2. 不定積分の性質
   3. 不定積分の計算例
   4. 面積と定積分
   5. 定積分の性質
   6. 不定積分と定積分の関係
   7. 定積分の応用
8. 無限級数と関数の展開
   1. ベキ級数
   2. テイラー展開
   3. 関数の展開
9. 簡単な微分方程式
   1. 1階微分方程式
   2. 定数係数2階線形微分方程式

付録

1. 指数関数
2. 対数関数
3. 三角関数