Excel土木講座 エクセル・シミュレーション入門
定価 | ¥3,520(税込) |
ページ数 | 182 |
サイズ | B5 |
著者 | 河村 哲也 |
発売 | 山海堂 |
ISBN | 4-381-01620-3 |
ISBN (電子書籍) | 978-4-910058-39-9 |
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はじめに より抜粋
コンピュータは現在,情報を処理する機械として,インターネットやワープロ,メール,ゲーム機,銀行の現金自動支払機などを通して日常生活に深く浸透しています.そのような中で,コンピュータとはそもそも計算を高速に正確に実行する機械であるという事実は忘れ去られています.しかし,コンピュータがもつこのような能力なしには,現在の科学技術は有り得ないといってよく,たとえば火星にロケットを着陸させてロボットで火星を探索するなどといったことはとうてい不可能です.
もちろん,コンピュータは,書かれたプログラムに従って忠実に加減乗除の計算を行っているだけなのですが,四則演算を行うだけでも想像を越えるような難しい計算が可能であり,その結果,科学技術の発展に大いに貢献しています.そして,こういった科学技術に現れるさまざまな計算を,コンピュータで計算できる四則演算に直す場合の基礎になるのが数値計算法です.数値計算法のプログラムはライブラリなどの形で提供されており,自分でプログラムを組むことはまれです.しかし,それらをブラックボックスとして使うとプログラムの使い方を誤ったり,細かい応用が効かないなどの問題が起きます.したがって,数値計算法を教養としてもっておくことは科学技術にたずさわる人にとって必須であるといえます.
このような観点から数値計算法の初歩を理解していただくため,本シリーズのエクセル「数値計算入門」を執筆し,その中で非線形方程式,連立1次方程式,関数の近似(補間法,最小2乗法),数値積分,常微分方程式の解法を取り上げました.しかし,紙面の関係で偏微分方程式の解法は割愛しました.一方,世の中に現れる現象は偏微分方程式で記述されることが非常に多く,偏微分方程式をコンピュータで解くことにより,そのような現象を(コンピュータの中で)再現でき,コンピュータを使って現象を調べることが可能になります.このような手続きを数値シミュレーションといいます.もちろん偏微分方程式を使わないシミュレーションもありますが,多くのシミュレーションが偏微分方程式を数値的に解くといった手続きに還元されます.本書はこのようなことを踏まえて,偏微分方程式によるシミュレーションの基礎をやさしく解説した本です.実際のシミュレーションでは,もちろん本書の程度を越える高度な取り扱いをしますが,本質部分は本書で解説するものと同じです.
本書によって読者の皆さんが,シミュレーションのしくみを理解し,シミュレーションに対する興味が増すことを願っています.なお,本シリーズの他書と同じく,いくつかの代表例に対してはVBによるプログラムも載せてあります.これらのプログラムを実際に入力して実行することによってシミュレーションに対する理解が深まると思います.
目次
- 数値シュミレーション
- 実在現象とモデル化
- 数値モデル
- 微分方程式の数値解法
- 微分方程式
- 連立微分方程式
- 2階微分の近似
- 線の方法
- 境界値問題
- 常微分方程式の境界値問題
- 3項方程式の解法
- 偏微分方程式の境界値問題
- 流れのシミュレーション
- 基礎方程式
- 質量保存法則
- 運動量保存法則
- エネルギー保存法則
- 2次元運動
- 無次元化
- 圧縮性の効果
- 数値解法
- 基礎方程式
- プログラムの実際
- 具体的な計算式
- 境界条件と初期条件
- プログラム
- 熱の取り扱い
- 簡単な実用プログラム
- 複雑な領域での領域での流れの取り扱い
- 2次元実用プログラム
- 室内気流のシミュレーション
- 室内気流問題
- 熱を考慮した正方形領域内の流れ
- 室内気流のシミュレーション
- 風による砂の移動のシミュレーション
- さまざまな砂丘形状
- シミュレーションの方法
- さまざまな砂丘の形成過程
- 洗掘問題
付録 計算結果の表示方法
- 後処理
- 1次元データの表示法
- 2次元データの表示法
- 3次元データの表示法