Excel土木講座 エクセル地盤工学入門
定価 | ¥3,300(税込) |
ページ数 | 186 |
サイズ | B5 |
著者 | 石田 哲朗 |
発売 | 山海堂 |
ISBN | 4-381-01609-2 |
ISBN (電子書籍) | 978-4-910058-33-7 |
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エクセルナビシリーズ 地盤工学入門はじめに より
この本は学生や技術者のための地盤工学の入門書として書いたものである.土は工学的な材料のなかでも取り扱いが難しく,初めて学ぶ人には取っ付き難い科目の一つとされている.しかし,「土」は大昔から人々の生活基盤や道具(材料)として使われてきたことは容易に想像できるし,誰でも幼年期には砂場で遊んだ記憶があるはずである.しかしながら,建設や環境工学に興味を抱いて進学してきた学生諸氏にも,なぜ,これほど地盤工学が毛嫌いされるのか,大学教育に携わる一人として常々考え悩んでいる.
ところで,現在普及が著しいワープロやパソコンは,日本語文章を作成するには大変に便利であり,能率的な文明の利器である.漢字を忘れても簡単に教えてもらえる.そんなときに,ワープロに向かって「土」に関わる漢字を探すとその多さには驚かされる.漢字は,アルファベットと違って象形文字をもとに,一字一字が特定の意味を担った表意文字であるから,いわば意味の缶詰である.ワープロを使いながら漢字の意味を追ってみると,
たとえば,土壌汚染という環境問題で多くの人々に知られた「土壌」の壌は,土へんとつくりの「」が結びついた字である.「」の意味は,混ぜ返す,ふんわりとした,という意味である.土壌は工学ではあまり使用されないが,農学部では一般的な言葉である.ふんわりとして肥沃な土から植物が生育することを考えれば納得できる漢字である.
「地」は土へんに「也」と書く.「也」には平らに延びるという意味がある.「地」が使われて,大地,平地,地面,地盤と広がりを表現している.
土の上に人が「坐る」.昔はこの字が使われていたが,今は屋根のあるところ,つまり家の中で座るで「座」が使われている.
「埴輪」の「埴」の意味は,赤い粘着性の土で瓦や陶器の原料となる土を示す.土へんに「直」は,手でこねれば真っ直ぐに立つような粘り気の強い土ということになる.農家では,粘土分の多い土を「埴土」と言うし,埴土と砂が適当に混じった土を「壌土」と呼んでいる.土壌が逆さまになると良質な土になるという意味を持つのである.土へんから逸脱するが,植物の「植」も「木」が真っ直ぐに成長するという意味かもしれない.
このようなワープロ機能からだけの勉学に限らず,エクセルの演算機能を利用できれば,取っ付き難い「地盤工学」も学び易くなるのではと考えたのが本書である.本書では各章の内容を簡潔に説明しながら例題を示し,その例題の解法を学べるとともに,エクセルの計算テクニックを駆使して構築された,それぞれの例題に対応したエクセルファイルを入手することができる.問題の条件はファイル上で代えることによって,その挙動あるいは結果が一瞬にして得られる仕組みになっている.本書によって,地盤工学の考え方やその工学的な計算方法の仕組みを理解され,面倒な計算も繰り返し経験することによって興味がわき,さらに高度な内容に進むきっかけになれば幸せである.至らぬ点はご批判をいただけば,機会をみて訂正していきたいと考えている.
目次
- 土の状態を表す基本量
- 土の状態を表す諸量
- 土の状態を表す諸量の関係式
- 土の密度とコンシステンシー
- 土の浸透率
- 土中水の分類
- 水頭と地下水位
- ダルシーの法則と透水係数
- 成層地盤(多層地盤)の透水係数の求め方
- 定常流における原位置の透水係数の求め方
- 有効応力
- 有効応力
- 流れ場での有効応力
- 圧密応力と有効応力
- 土の圧密
- 圧密過程
- 圧密試験
- 地盤の沈下の問題点
- 沈下~時間の関係
- 増加応力の概算方法
- 多層地盤の沈下と時間の関係
- 双曲線法による沈下と時間の関係の予測
- 土のせん断強さ
- 土のせん断強さとは
- せん断試験
- 「土壌」から学ぶモール・クーロンの破壊基準
- 砂質土と粘性土の性質の違い
- 土圧
- 土圧の種類
- ランキンの土圧論
- クーロンの土圧論
- 等分布荷重が載荷されたときのランキンとクーロンの土圧計算
- 地下水面が存在する壁面に生じる主働土圧をクーロンの土圧で求める
- 矢板の根入れ長さの検討
- 斜面の安定
- 固体摩擦とクーロンの破壊基準
- 斜面のすべり面の安全率
- 簡略化された半無限長斜面の安定計算
- 分割法による斜面の安定計算