Excel土木講座 エクセル数値計算入門

カバー
定価 ¥3,300(税込)
ページ数170
サイズB5
著者河村 哲也(工学博士)
管 牧子(博士・理学)
発売山海堂
ISBN4-381-01607-6
ISBN (電子書籍)978-4-910058-32-0
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はじめに より

現在のコンピュータの発展は目覚しく、その情報処理能力は各方面に応用されています。その中で当たり前すぎて目立たなくなっていますが、コンピュータの重要な役割に数値計算があります。そして、数値計算なしでは現代の科学技術は成り立たないといっても過言ではありません。もちろん、土木の分野も例外ではなく、むしろ数値計算が実用的にもっともよく使われる分野のひとつです。

数値計算の基本的なプログラムはライブラリ化されており、技術者が実際にプログラムを組むことはほとんどないかも知れませんが、逆に中身が見えないため、使い方を誤ったり、細かい応用が利かないなどといった問題点もあります。そこで、数値計算の基礎部分を十分に理解して素養としてもっておくことは土木技術者にとって非常に大切なことです。このような観点から、「数値計算の初歩!」という本を昨年出版しました。その特長として、なんでも書いてあるハンドブック的なものではなく、基本かつ重要な題材に的を絞って徹底的にやさしく書いた点があげられます。また、数値計算では実際にプログラムを見ないと理解できない部分が多くあるため、数値計算用の言語であるFortranと現在多方面で使用されているCを用いたプログラムをつけました。

「数値計算の初歩!」は幸い好評を得ているようですが、実際にプログラムをコンピュータで動かすためには高価なFortranやCのコンパイラが必要になります。また計算結果をグラフ化したいときには別に専用のソフトが必要になります。そこで、本書ではこれらの欠点を解消するためにパソコンの標準的なソフトになっているエクセルを利用しました。すなわち、プログラムはエクセルに付属しているVBAで書いたものを載せました。したがって、エクセルがあればコンパイラを新たに購入する必要はありません。さらにエクセルの本来の機能である表計算を利用すれば出力結果を加工しやすく、またグラフ化も容易になります。そこで、掲載プログラムではエクセルの表から計算に必要なデータを読み込み、エクセルの表に書き出すといった形をとっています。

本書の内容は「数値計算の初歩!」と基本的に同じになっていますが、ページ数の関係でそのとき盛り込めなかった題材をいくつか新たに付け加えています。具体的には、2章では、連立方程式に対するニュートン法、ベアストウ法、3章ではトーマス法、コレスキー法、4章ではエルミート補間法とスプライン補間法、5章ではガウスの積分法と離散フーリエ変換、6章ではミルン法などです。

本書によって数値計算の仕組みがわかり、数値計算に興味がわき、さらに高度な勉強を行うきっかけとなれば著者にとって望外の幸せです。

目次

  1. 数値計算の基礎
    1. アルゴリズム
    2. 漸化式と反復法
    3. 誤差
  2. 単一方程式の根
    1. 反復法
    2. 二分法
    3. ニュートン法 その1
    4. ニュートン法 その2(連立二次元方程式の解法)
    5. ベアストウ法
  3. 連立一次方程式の解法
    1. 反復法(ヤコビの反復法、ガウス・ザイデル法)
    2. ガウスの消去法
    3. トーマス法
    4. コレスキー法
    5. 変形コレスキー法
  4. 関数の近似
    1. ラグランジュ補間
    2. エルミート補間
    3. スプライン補間
    4. 最小二乗法
  5. 数値微分と数値積分
    1. 数値微分 その1
    2. 数値微分 その2
    3. 区分求積法と台形公式
    4. シンプソンの公式
    5. ガウスの積分公式
    6. 離散フーリエ変換
  6. 微分方程式
    1. 微分方程式
    2. 初期値問題 その1(オイラー法)
    3. 初期値問題 その2(四次のルンゲ・クッタ法、ルンゲ・クッタ・ギル法)
    4. 初期値問題 その3(ミルン法)