コンパクトシリーズ流れ 流体シミュレーションのプログラム集
定価 | ¥1,650(税込) |
ページ数 | 107 |
サイズ | A5 |
著者 | 河村 哲也 |
発売 | インデックス出版 |
ISBN | 978-4-910058-75-7 |
ISBN (電子書籍) | 978-4-910058-76-4 |
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はじめにより抜粋
本書はコンパクトシリーズ「流れ」で取りあげた,常微分方程式,線形偏微分方程式,非圧縮性ナビエ・ストークス方程式の数値解法に関連したプログラムを数多く集めた本です.そのうちいくつかはすでに個々の分冊でもFortranなどを用いて紹介していますが,本書ではプログラム言語をVBA に統一しました.
VBA を選んだ理由は,現在,ほぼすべてのPC で使えるエクセルを用いれば読者が手軽にプログラムを実行でき,さらに計算結果もある程度見やすい形で表示できるからです.いいかえればお手持ちのPC にエクセルさえインストールされていれば,簡単な常微分方程式の求解からかなり本格的な3次元流れのシミュレーションまで可能です.VBA は本質的にはBASIC であり,プログラムの構造が理解しやすく,他の言語への翻訳も容易です.なお,本書では数値解法の仕組みを見えやすくすることが目的であり,模範的なプログラムを示すことが目的ではないため,VBA 独自の命令は必要最低限にしており,また変数の型宣言すら行っていません.
数値計算や数値シミュレーションでは,理屈を理解するだけでは不十分であり,具体的なプログラムを見て内容を理解し,さらには自分でプログラムが組めるようになってはじめてマスターしたといえます.本書には紙媒体でプログラムを載せてあるだけですが,それを,煩わしさをいとわずに手で打ち込むという作業も重要と考えます.そして,プログラムの入力データをいろいろ変化させて実際に実行してみると興味ある結果が得られます.また,流れのシミュレーションでは境界条件などをいろいろ変化させて流れがどのように変わるのかをみるのも理解を深める上で大切です.
なお,特に流れの3次元シミュレーションでは,実行時間の関係でVBAを使っている限りあまり格子数は増やせないと思われます.しかし,プログラム自体は格子数が増えたからといって内容が変化するわけではありません.本格的なシミュレーションを行うためには本書のプログラムをFortranなど数値計算専門の言語に翻訳してみてください.For文をDo文に置き換えるなど機械的な作業でできるはずです.効果的な可視化についてはフリーソフトなどが利用できます.
本書単独でも流れのシミュレーションの重要部分がわかるようにしていますが,本書がコンパクトシリーズ「流れ」の補完となって,シリーズ全体の理解を深める上で役に立つことを願ってやみません.
目次
Chapter 1 常微分方程式
- 1階微分方程式の初期値問題
- 連立微分方程式の初期値問題
- 境界値問題
- 渦糸群の運動
Chapter 2 線形偏微分方程式
- 1次元拡散方程式
- 2次元拡散方程式
- 移流方程式と移流拡散方程式
- ラプラス方程式とポアソン方程式
Chapter 3 2次元流れの解析
- 流れ関数-渦度法によるキャビティ流れ
- 円柱まわりの流れ
- フラクショナル・ステップ法によるキャビティ流れ
Chapter 4 不規則な領域での2次元流れ
- 一般座標変換と格子生成
- 一般座標系における流れ関数-渦度法
- 一般座標系におけるフラクショナル・ステップ法
Chapter 5 3次元流れ
- 立方体キャビティ内流れ
- 任意形状の領域における3次元流れ