トリトン流体力学 第二版(下)

カバー
定価 ¥5,280(税込)
ページ数360
サイズA5
著者D.J.トリトン
河村 哲也【訳者】
発売インデックス出版
ISBN4-901092-26-X
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訳者序文より

本書は、D.J.トリトン著の Physical Fluid Dynamics second edition の全訳である。本書の最大の特徴はこの書名からもわかるように、流体力学を「物理的な」視点から解説したところにある。

本書の翻訳を思い立ったのは、以下の3つの理由からである。

第一に、本書は通常の流体力学の本とはかなり異なったアプローチをとっていて、またそれが見事に成功しているからである。世の中に流体力学の本はあふれているが、類書はほとんどないと思われる。

第二に、自分自身がもし流体力学の本を書けといわれても、このようなアプローチでは絶対に書くことができないからである。原著者の深い物理的な洞察に感心せざるを得ない。

第三に、取り上げられた題材が、他の流体力学の本では詳しく取り扱われないものが多く含まれているからである。特に熱対流、成層流体や回転流体、不安定性などが非常に詳しくまた物理的に明快に著されている点も本書の魅力であると思われる。

目次

  1. 不安定性
    1. はじめに
    2. 流体柱の表面張力不安定性
    3. ループ内の対流とローレンツ方程式の安定性
    4. 流体力学の線形安定性理論の原理
    5. 回転クウェット流
    6. せん断流の不安定性
    7. 境界層に対する安定性理論
    8. 渦列
  2. せん断流中の乱流遷移
    1. はじめに
    2. 境界層遷移
    3. 管内流れの遷移
    4. 噴流の遷移
  3. 乱流
    1. 乱流運動の性質
    2. 乱流運動の統計的記述
    3. 乱流方程式
    4. 相関の解釈
    5. スペクトル
    6. 乱流中の渦塊
  4. 一様等方性乱流
    1. はじめに
    2. 空間相関と完結問題
    3. スペクトルとエネルギーカスケード
    4. エネルギーカスケードの力学過程
  5. 乱流せん断流
    1. レイノルズ数相似性と自己保存
    2. 間欠性とエントレインメント
    3. 乱流後流
    4. 秩序構造:一般的なものと後流
    5. 壁近くの乱流
    6. 境界層内の秩序構造
    7. 乱流成層流
    8. 逆遷移
  6. 水平層内の対流
    1. はじめに
    2. 対流の開始
    3. 開始直後の対流
    4. レイリー数が増加したときの変化:一般的な注意
    5. 欠陥のない自由対流の変化
    6. 欠陥をもった対流の変化
    7. 高いレイリー数での対流と乱流
  7. 2重拡散対流
    1. はじめに
    2. 塩が引き起こす対流
    3. 温度駆動対流
    4. 層状化
  8. 力学的カオス
    1. はじめに
    2. ローレンツ方程式
    3. 外力が加わった球状振り子のカオス的な運動
    4. カオスに至る道すじ
    5. 流体力学におけるカオス
    6. 乱流に対する関係
    7. 乱流遷移に対する関係
  9. 実験方法
    1. 実験流体力学の一般的な見地
    2. 速度の測定
    3. 圧力と温度の測定
    4. 流れの可視化
    5. 数値実験
  10. 流体力学の応用
    1. はじめに
    2. 雲のパターン
    3. 大気循環の波動
    4. 砂丘の形成と動き
    5. 大陸移動と地球マントルの対流
    6. 太陽の粒状構造
    7. 流出物のまきちらし
    8. 構造物に対する風の影響
    9. 境界層制御:渦発生器
    10. 列車の空気力学
    11. 結晶成長
    12. うねりを利用した泳ぎ方
    13. 人体からの対流
    14. ブーメランの飛行
  1. 表記法
  2. 図書目録と参考文献